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個人開発エンジニアが無料・低予算で自作アプリをマーケティングする方法
約1か月前
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個人開発エンジニアが無料・低予算で自作アプリをマーケティングする方法
個人で開発したWebアプリやモバイルアプリ、SaaSを広めるには、資金が潤沢でなくとも創意工夫でカバーできます。本記事では、SEO対策からSNS活用、コミュニティ投稿、コンテンツマーケティング、バイラル戦略、プレスリリース、そしてその他の低コスト施策まで、効果的な方法と事例を紹介します。
1. SEO対策 (検索エンジン最適化)
検索エンジンの代名詞、Google
検索エンジンからの集客は、時間はかかりますが無料で持続的な流入が見込める手法です。まず、自分のサービスに関連するキーワードを洗い出し、タイトルや見出し、メタタグに盛り込んでサイトを最適化しましょう。 特に競合が少ないロングテールキーワード(例:「プロジェクト管理 ソフト リモートチーム向け」など)を狙うと、上位表示されやすく見込みユーザーにリーチしやすくなります 。また、Googleサーチコンソールでサイトのインデックス状況を確認し、サイトマップ送信や検索クエリの分析を行いましょう 。無料のGoogleキーワードプランナーも活用できます。広告用のツールですが、関連キーワードの検索ボリュームを調べる無料のSEO情報源として有用です 。
コンテンツSEOも重要です。サービスに関連する役立つブログ記事をサイトに掲載すると、検索流入を増やせます。例えば、ある個人開発者は自身のサービス対象であるライブ配信者向けにノウハウ記事を公開し、その記事がGoogle検索で主要キーワードで1~2位を維持するようになりました 。SNSで拡散されなくとも検索経由で安定したアクセスがあり、結果としてその記事がサービスへの最大のトラフィック源となっています 。このようにブログや技術記事の活用は、時間はかかりますが一度上位表示されれば継続的な集客効果が期待できます。実際、その開発者はブログ経由の広告収入でサーバー代をまかなえるほどになったとも述べています 。
なお、SEOは成果が出るまで数ヶ月かかることもありますが、無料で始められる長期投資と捉えて継続することが大切です。 適切なキーワード戦略とコンテンツ改善を粘り強く繰り返せば、やがて大きな成果(あるインディーメーカーはSEOコンテンツに注力して数十万クリックを獲得し、600人以上のユーザーを獲得したと報告しています )につながるでしょう。
2. SNS活用 (Twitter, YouTube, TikTokなど)
Xを使って効果的なSNSマーケティングを
ソーシャルメディアは無料で世界中に情報発信できる強力な手段です。ただし闇雲に宣伝するのではなく、それぞれのプラットフォームの特性とユーザー層に合わせた戦略が必要です。
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Twitter(現X): 開発過程を発信する「ビルドインパブリック」は多くのインディー開発者が実践しています。開発の舞台裏や得られた知見を日々ツイートすることで共感者を増やし、フォロワー=潜在ユーザーを獲得できます。実際、個人の物語や学びを共有する投稿はユーザーの関心を集めやすく、受け入れられやすいと言われています 。ただし、ターゲット層が開発者やクリエイターでない場合、Twitterばかり注力しても効果が薄いことがあります。他のプラットフォームでより対象ユーザーと深く交流できる場合は、そちらを優先する柔軟さも必要です 。
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YouTube: YouTubeは単なる動画共有ではなく、第二の検索エンジンとも呼ばれます。製品に関連するハウツー動画やデモ動画を作成し、「○○の使い方」「課題Xの解決方法」などのタイトルで公開すれば、検索経由で潜在ユーザーが発見してくれる可能性があります。実際あるSaaS企業はYouTubeチャンネル上でSEOを意識した動画コンテンツを展開し、動画経由で継続的にリードを獲得しています。「我々の動画視聴の多くはYouTube内検索かGoogle検索経由。つまりYouTubeマーケティングはSEOそのものだ」と語っています 。キーワード調査を行い、ユーザーが探していそうなテーマの動画を作ることが重要です。また、YouTubeでは製品そのものの宣伝より教育的・有益な内容が好まれます。自社製品の紹介でも、まず関連分野のチュートリアルや知識共有の形にすることで視聴者の信頼を得て、ひいては製品利用につなげることができます。例えば、共同創業者がゼロから始めた園芸チャンネルで、初動画の再生回数は最初の250日で300回程度でしたが、その後内容の良さから検索経由で伸び続け、次の250日で25,000回以上に増えた例もあります 。このように粘り強く投稿すれば、チャンネル登録者ゼロからでも徐々に効果が現れるでしょう。
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TikTok: エンタメ性の高いTikTokは、一見BtoC向けに思えますが、アイデア次第で技術系コンテンツやアプリ紹介も拡散可能です。特に視聴者の興味を引く短いデモ動画やビフォーアフター動画などはバズる可能性があります。実際、インディーゲーム開発者の中にはTikTokでショート動画を投稿し数日で百万回近い再生を獲得した例もあります 。ある開発者はかわいい犬が登場するゲームのプレイ動画をTikTokに投稿したところ、約95万回再生され、Steam(PCゲーム配信プラットフォーム)のウィッシュリスト登録が830件増加しました 。さらにTikTokでは、一つの投稿が話題になるとコメントへの動画返信などから二次的・連鎖的に閲覧数が伸びる特徴もあります 。わずか48時間で17,000人以上のフォロワーが増え、以前から運営していたYouTubeで18ヶ月かけて得た再生数をはるかに上回る閲覧が得られたという報告もあります 。このように爆発力は魅力ですが、一方でTikTok利用者は他のSNS以上に興味が薄れやすい傾向もあります。短時間で多くの視聴者にリーチできても、それをユーザー登録や継続利用に結びつける工夫(例えば動画内でのCTA=行動喚起や、プロフィールへのリンク設置など)がないと「バズったが誰もサイトに来ない」ということにもなりかねません 。したがって、TikTokではバイラル狙いの面白コンテンツを作りつつ、興味を持った人が次に取るアクション(リンクをクリックする、アプリをダウンロードするなど)を明示しておくことが重要です。
総じて、SNS活用では「どの層にリーチしたいか」を明確にし、その層が多く集まるプラットフォームに注力するのがおすすめです。そして一方通行の宣伝ではなくコミュニケーションを意識しましょう。コメントへの返信や他ユーザーの投稿へのリアクションを通じて関係性を築くことで、信頼やファンが生まれ、それが徐々にユーザー基盤の拡大につながります。
3. コミュニティとフォーラムへの投稿
個人開発の成果を共有できるZennとQuita
プロダクトコミュニティや開発者フォーラムに自作サービスを投稿するのも効果的です。代表的なものにProduct Hunt、QiitaやZennなども、Hacker Newsなどがあります。これらのプラットフォームでは、新しいプロダクトやアイデアに理解のある初期ユーザー層や業界関係者にリーチできます。ただしそれぞれ投稿の流儀があるため、ポイントを押さえて活用しましょう。
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Product Hunt: 新製品紹介サイトのProduct Huntでは、ローンチ(製品公開)の場として多くのスタートアップや個人開発者が利用しています。ローンチ当日の順位によって露出が大きく変わるため、事前準備が鍵です。具体的には、事前にフォロワーや知人にローンチ日を知らせておき初日数時間で一定のアップボート(upvote)を獲得する、魅力的な紹介文や画像を用意する、コメント欄で積極的に質問に答える、といった工夫が有効です。上位に入れば大量の閲覧者が訪れ、PHの公式ニュースレター(50万人以上に配信)でも紹介されるため、大きなトラフィック増加が見込めます 。実際、ある個人プロジェクトはProduct Huntでデイリー7位に入る成功を収め、わずか48時間でサイト訪問者1,500人、285件のメール登録(リード)、そしてそのうち20件が有料クライアントになるという成果を上げました 。アップボート数は246票でコメント64件を集めており、それが直接この結果につながっています 。またトップ10に入らずとも、Product Hunt経由で初期ユーザーが何十人も集まった例もあり、「大成功ではなくてもローンチする価値は大いにある」という声もあります。別のプロジェクトでは初回ローンチが3票しか得られず埋もれてしまいましたが、それでも約15日間で30件ほどのメール登録が得られたと報告されています 。このようにProduct Huntは無料で大量のアーリーアダプターにリーチできるチャンスなので、戦略的に活用しましょう。
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Indie Hackers: 開発者コミュニティのIndie Hackersでは、プロダクト宣伝というより経験共有やディスカッションの場として使うと良いでしょう。自分のプロダクトの進捗報告、学んだこと、苦労話、収益公開などを投稿すると、多くの共感やアドバイスが得られます。直接のユーザー獲得というよりは、同志とのネットワーク作りや知見交換によって間接的に製品改善や露出につなげるイメージです。Indie Hackersのフォーラムで自身のサービスの紹介記事を書くこともできますが、その際もコミュニティへの価値提供(例えば「~の方法」「~した教訓」など)にフォーカスすると反応が良いです。また、Indie Hackersでは成功談だけでなく失敗談や試行錯誤のプロセスも好意的に受け取られます。インタビュー企画に応募して採用されれば公式ブログやポッドキャストで取り上げられ、大きな宣伝にもなります。
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Qiita/Zenn: 開発者向け情報共有プラットフォームでは、技術的な記事を書くことで結果的に自分のサービスを知ってもらう手段があります。たとえば「○○というサービスを支える技術スタック紹介」「□□という課題を解決する方法(自社サービスを例に)」といった記事を投稿すれば、開発者読者の目に留まり、サービスサイトへの誘導が期待できます。技術ブログはSEO効果もあるため、一石二鳥です。実際、Dev.toで執筆を続けて11ヶ月で25万PVを達成したエンジニアもおり 、その過程で自身のプロダクトに関心を持つコミュニティも醸成できます。国内でもQiitaやZennに個人開発の振り返り記事を書くとTwitterなどで拡散されユーザーが集まるケースが見られます。ポイントは宣伝臭を出しすぎず有益な内容提供が主、プロダクト紹介は副次効果と位置づけることです。
以上のように、コミュニティ投稿ではプラットフォームごとの文化とルールを尊重することが成功のカギです。単なる広告は嫌われますが、開発ストーリーやユーザーに役立つ情報提供という形であれば歓迎されます。また、一度投稿して反響がなくても落胆せず、タイミングや内容を工夫して再挑戦することも大切です。特にProduct Huntのように一度きりの勝負感がある場でも、アップデート版を「Version 2.0」として再ローンチするなど複数回チャレンジして成功する例もあります。
4. コンテンツマーケティングの活用
代表的なブログサービス、Note
コンテンツマーケティングとは、ユーザーに価値あるコンテンツ(記事・動画・資料など)を提供し、興味喚起や信頼形成を通じて最終的に自分のサービスを利用してもらう手法です。個人開発の文脈でも、ブログ記事や技術記事、ホワイトペーパー、ケーススタディ、YouTube動画など様々なコンテンツを作成することで宣伝以上の効果を生み出せます。
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ブログ記事執筆: 自社サイト上でブログを開設し、ターゲットユーザーが関心を持つ話題について記事を書きます。例えばサービスが「家計簿アプリ」なら「お金の管理術」や「家計簿アプリ比較」、開発者視点で「○○(自社アプリ)を作る際に役立った○個のライブラリ」など、読者の役に立つ内容にしましょう。記事内でさりげなく自分のアプリを紹介したりリンクを貼ったりすれば、押し付けがましくなく集客につなげられます。SEO対策としてもブログは有効で、記事が検索上位に来れば継続的な流入源になります。前述のように、ある開発者はターゲットユーザー向けの解説記事を別サイトに立ち上げ、その記事経由でサービス利用者を安定確保しています 。その記事は主要キーワードで検索結果1位を長期間維持し、SNSで全く拡散されなくてもアクセスが途絶えない状態になっています 。このようにユーザーの課題を解決する良質なコンテンツは半永久的な呼び込み役となります。
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技術記事・チュートリアル: 開発者向けサービスであれば、技術的内容のブログやQiita記事を書くことで認知度を高められます。自分のサービスの使い方指南、API連携方法、開発上の工夫点などを記事にし外部にも投稿すれば、単なるプロダクトページでは得られない検索エンジン経由の露出やコミュニティでのシェアが期待できます。読んだ開発者がそのままユーザーにならずとも、記事への言及やリンクが増えることでSEOが強化され、結果としてサービスサイトの評価も高まります。技術記事は信頼構築にも寄与し、「この開発者(会社)はしっかりしていそうだ」という印象を与えることで後々の利用検討時に有利になります。
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ケーススタディ・ユーザー事例: もし既に少しでもユーザーがいる場合、そのユーザーがどのようにサービスを活用して成功したか紹介するケーススタディ記事を書くのも効果的です。たとえば「○○さんはこのサービスを使って作業時間を20%短縮、ビジネスを拡大」というような具体的な成果をストーリー仕立てでまとめ、ブログやSNSで発信します。これは社会的証明(ソーシャルプルーフ)となり、新規ユーザーに「自分も同じメリットを得られるかも」と思わせる効果があります。記事内で実名や具体的な数字が出せれば信憑性が高まりますし、そうでなくともユーザーの声(レビュー)を引用するだけでも十分です。ケーススタディはメディアにも興味を持ってもらいやすく、うまく書けば他サイトに転載・紹介されることもあります。
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YouTube動画・ウェビナー: ブログと並んで有力なのが動画コンテンツです。解説動画やウェビナー(オンラインセミナー)を企画し、自社サービスに関連するテーマでしゃべったり実演したりします。例えばデザインツールなら「デザインの基本10分講座」、クラウドサービスなら「クラウド活用術」などを配信し、その中で自社サービスを例示として使う形です。視聴者はまずコンテンツ目的で集まり、副次的にサービスの存在を知るという流れになります。動画は顔や声が伝わる分、文章より親近感や信頼感を持ってもらいやすい利点があります。またライブ配信であれば質疑応答を受け付けることでユーザーとのエンゲージメントも高まります。録画したものは後日アーカイブとしてYouTubeに残し続ければ、そこからの長期的な集客効果も見込めます。
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コンテンツの再利用と拡散: 一つコンテンツを作ったら、それを最大限活用しましょう。例えばブログ記事を書いたら、その内容を要約してTwitterスレッドにする、主要ポイントをスライドにしてSlideShareにアップする、動画に転用してYouTubeに上げる、英語に翻訳してMediumに投稿する、などです。労力は記事執筆の1.5倍ほどで済みますが、露出は何倍にも増えます。このように多チャンネルに展開することで様々な経路からユーザー流入が期待できます。
コンテンツマーケティングは即効性こそ低いものの、資産として積み上がり長期的な集客の柱となります。特に一人で開発・マーケティングを担う場合、コンテンツが24時間働いてくれる営業マンのような役割を果たしてくれるでしょう。大変に思えるかもしれませんが、小さく始めてコツコツ続ければ必ず効果が蓄積します。「内容がユーザーの役に立つか?」を基準にコンテンツを増やしてみてください。
5. バイラルマーケティング (口コミ・紹介制度の活用)
バイラルマーケティングとは、ユーザー自身が他のユーザーを呼び込む仕組みを作り、口コミ的な拡散で成長する戦略です。予算がなくても工夫次第で強力な効果を発揮します。ここでは代表的な紹介プログラムと口コミ促進について解説します。
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紹介(リファラル)プログラム: 既存ユーザーが知人にサービスを紹介したくなるようなインセンティブを提供する手法です。例えば「友達にこのリンクから登録してもらうと、紹介者にはサービス内ポイントを○○プレゼント、新規登録者も初月無料」といった両者メリットのある特典を設定します。このようなダブルサイドの報酬にすると紹介のハードルが下がり、ユーザーが積極的に声をかけてくれるようになります 。紹介リンクの共有をできるだけ簡単にすることも重要です(ワンクリックでメールやSNSに共有できるUIにするなど) 。この戦略はかつてDropboxが大成功させたことで有名です。Dropboxでは紹介経由で有料ユーザーが増える仕組みを取り入れた結果、15ヶ月でユーザー数が100,000人から4,000,000人へと3900%増加する驚異的な成長を遂げました 。紹介者・被紹介者の両方に500MBの追加ストレージを与えるというわかりやすい報酬と、ソフト内に紹介リンク共有ボタンを埋め込むなど徹底した仕組み作りが功を奏したのです 。このような紹介制度はコストも低く抑えられ(ストレージ提供など原価の小さい特典で済む)、ユーザーの好意を原動力にした自走式の成長エンジンとなります 。個人開発サービスでも、たとえば「友達招待で双方○日間プレミアム機能無料」といったシンプルな形で導入可能です。初期ユーザーが少ないうちは爆発力は出ませんが、ユーザーベース拡大とともに効果が雪だるま式に大きくなっていきます。
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口コミ促進: 紹介プログラムのような明確な仕組みがなくても、既存ユーザーの満足度を高めて自然な口コミを引き出すことも大切です。プロダクトの品質向上はもちろん、ユーザーとの積極的なコミュニケーションやサポート対応などにより「このサービスは良いよ」と人に話したくなるような体験を提供しましょう。地道ですが強力な方法です。実際マーケティングの専門家も「真に満足した顧客は最良の広告塔」であると言います 。定期的にユーザーにフィードバックを求めたり、ニュースレターで活用事例を紹介したりしてユーザーとの関係を深めることで、そのユーザーが自発的に周囲にサービスを推薦してくれる可能性が高まります 。特にニッチなコミュニティでは、一人の熱狂的ファンの口コミがじわじわと広がり最終的に多くのユーザー獲得につながるケースもあります。また、ユーザーがSNSでサービスを共有しやすいよう工夫するのも有効です。アプリ内に「共有」ボタンを設置したり、達成度合いをSNS投稿できる機能(例:語学学習アプリで○日連続学習中!とツイートできる)を入れることで、ユーザー発信の露出が増えます。キャンペーンとして「紹介した人数に応じて○○プレゼント」と打ち出すのも良いでしょう。
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待望感・限定感の演出: バイラルを促進するテクニックとして、製品に待ち行列(ウェイティングリスト)を導入し、「今申し込めば順番待ち◯番目です。友達を招待すると順番が早まります」といった仕掛けもあります。これは一種の紹介インセンティブ+ゲーミフィケーションで、かつてメールサービスのGmailやソーシャルネットワークのClubhouseなどが招待制で話題をさらいました。一般公開前に関心を集める手法として、Betaリリース段階でこのような仕組みを使うことも検討できます。ただし、単に限定にすれば良いわけではなく、本当に価値あるサービスだと思ってもらえて初めて効果を発揮します。使ってみた人が「これはすごい」と感じれば招待枠を知人に配ったりしますが、そうでなければただスルーされて終わるので、まずは製品価値の最大化が前提です。
まとめると、バイラルマーケティングではユーザー視点でのメリットを用意することが肝心です。既存ユーザーには「紹介するメリット」、新規には「紹介で得られるメリット」を提供し、かつそれが製品のコア価値と矛盾しないように設計します。個人開発規模でも、紹介制度や口コミ促進策を取り入れることでお金をかけずにユーザーベースを倍増させることが可能です。
6. プレスリリースとメディア露出
PR timesを使ってプレスリリースできます!
メディアに取り上げてもらうことができれば、一気に認知度を上げるチャンスです。大手メディアでなくとも、業界ブログやニュースサイト、ローカル新聞などに掲載されれば信頼性も高まりユーザー獲得につながります。資金をかけずにプレス露出を得るための方法をいくつか紹介します。
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プレスリリース配信と記者への直接アプローチ: 自社でニュースリリースを書き、無料もしくは低価格のPR配信サービスを利用して発信したり、関心を持ちそうな記者やブロガーに直接メールで売り込む方法です。リリースを書く際は「○○をリリースしました」だけでなく、ニュース性や社会性を意識します(例:「個人開発の○○、◯◯業界のDXを促進する無料ツールを公開」「○○市在住エンジニア、子育て経験を元に育児管理アプリ開発」などストーリーを作る)。送り先リストは業界誌や関連ブログの編集者、テック系ニュースサイトの記者、地元紙のIT担当者などをリサーチし、Excel等にまとめておきます。闇雲に送っても効果は薄いので、「自分のニュースをその媒体の読者が喜ぶか?」の視点で的を絞ったリストを作りましょう。PRは放っておいても降って湧くものではなく、自ら働きかけることが重要です 。丁寧なメールで「ぜひ取材いただきたいポイント」を伝えれば、ゼロではなくなります。返信率は低いかもしれませんが、諦めず定期的にアップデート(新機能追加やユーザー何人突破など)を送ることで興味を持ってもらえる場合もあります。PR times, @Pressなどのサービスが有名ですね。
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スタートアップ掲載サイト: 無料でスタートアップを紹介してくれるブログやディレクトリに応募する方法です。例えばStartupTunesというサイトは「優れたデザイン」や「パラダイムシフトなアイデア」を持つビジネスを募集しており、100単語程度の説明を書いて送れば掲載審査してもらえます 。他にもBetaPageやProduct HuntのShip、CrunchBaseなど、新興プロダクト情報を扱うサイトはいろいろあります。大きく取り上げてもらえなくても、そうしたサイト経由で思わぬところから声がかかることもありますし、掲載されたという事実をもって他のメディアへの売り込み材料にもできます。「○○で紹介され話題の~」と謳えるだけでも信頼感が上がります。
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SNSで記者にリーチする: 記者やインフルエンサーはTwitterなどでネタ探しをしていることがあります。Twitter上で自分のプロダクトに関する投稿にいいねやリツイートしてくれた人の中にブロガーやライターがいれば、その人にお礼のメッセージを送るなど交流してみましょう。直接「記事にしてください」はNGですが、関係性を築いておけば後日自然と取り上げてもらえることもあります。また、自分からMediumやNoteでストーリー仕立ての記事を書き、それをSNSで発信するのも有効です。「月収○円の会社員が副業アプリ開発、世界中で利用されるまで」といった読み物的な記事にすれば、多くシェアされ結果的に記者の目にも留まりやすくなります。
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地元・専門特化メディア: 世界的なニュースサイトだけでなく、地元紙や業界専門誌にアプローチすることも検討しましょう。地元の話題なら地域のニュースサイトやフリーペーパーは歓迎してくれるかもしれません(例:「○○市在住のエンジニアが革新的アプリを開発」)。また特定業界向けサービスなら、その業界誌(IT系でなくとも、医療系や建築系など対象分野の媒体)に売り込むと競合が少なく掲載されやすいです。これらは派手さはなくてもコアな見込み客層にリーチできるメリットがあります。
プレスリリースやメディア掲載は一発逆転を狙いたくなりますが、地道な種まきとタイミングが重要です。常に「このネタはニュースになるか?」とアンテナを張り、自社ブログでプレスリリースを公開しておいて記者からの問い合わせに備える、ローンチの際は地元紙に電話してみるなど行動してみましょう。費用をかけずにメディア露出できれば理想的ですが、仮に有料PR配信サービス(数万円程度)をスポットで利用するのも、得られる露出効果を考えれば検討の価値があります。
7. その他の無料・低コストプロモーション手法
上記以外にも、個人開発者が使えるクリエイティブなマーケティング手法はいくつもあります。いくつか補足的に紹介します。
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ディレクトリサイトへの登録: 前述のBetaListの他にも、Product HuntのUpcoming機能、BetaPage、AlternativeTo、各種アプリレビューサイトなど、自分のプロダクトを掲載できるサイトがあります。特にAlternativeToは、有名サービスの代替ツールを探しているユーザーが訪れるサイトで、自分のサービスが既存大手の代替になり得る場合は掲載しておくとポツポツと流入が得られます。また、日本向けなら「ソフトニック」や「フリーソフト100」などソフトウェア紹介サイトもあります。これらへの掲載は基本無料なので、時間が許す限り登録しておきましょう。
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BetaListで初期ユーザー集め: BetaListはローンチ前・直後のスタートアップを紹介するサイトです。無料プランでは掲載まで6週間ほど待つ必要がありますが、それでも待つ価値ありとの声があります。「BetaListで最初のユーザーが手に入った時の興奮は素晴らしいものだった。登録者数というより、話を聞ける最初のユーザーを得られるのが何より大きい。しかも無料だ」という体験談があります 。実際、あるサービスではBetaList掲載によって140人の訪問と40人以上の新規ユーザー登録を獲得したという報告もあります 。近年は以前ほどの勢いはないとも言われますが 、無料でニッチなアーリーアダプターにリーチできる貴重な場であることに変わりありません。掲載が決まったら、BetaList掲載日にも自分のSNSで拡散するなど相乗効果を狙いましょう。
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Q&Aサイトで専門家になる: QuoraやTeratail、Stack OverflowのようなQ&Aサイトで、自分のサービス領域に関連する質問に答えていく方法です。ポイントはあからさまな宣伝ではなく純粋に質問者を助ける回答を心がけることです。例えば「プロジェクト管理のコツは?」という質問に対して、有用なアドバイスをした上で「(必要なら)こういうツールもあります」と最後に自分のサービスに触れる程度に留めます。良い回答を書けば回答者プロフィールや回答内のリンクからサイト訪問が発生しますし、回答内容自体が検索で長期間表示され続けるのでじわじわと認知度を上げられます。実際、マーケティング会社がQuora運用を分析したところ、適切な戦略で回答を積み重ねると自社サイトへの第2のソーシャル流入源になるほどトラフィックを稼げたといいます 。特に専門性の高い領域で自社サービスに関連する質問が多い場合には、時間対効果の高い手法となるでしょう。
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コミュニティへの貢献と露出: オンラインコミュニティ(Slackグループ、Discordサーバ、Facebookグループなど)で対象ユーザー層が集まっている場所があれば、そこに参加して存在感を出すのも有効です。ここでも直接宣伝は嫌われるので、まずはコミュニティメンバーとして質問に答えたり情報共有したりします。その中で「実はこういうサービスを作っているのですが…」と相談ベースで紹介すると、自然な形で認知してもらえます。例えばエンジニア向けSlackコミュニティで「自作のデプロイ自動化ツールのフィードバックが欲しい」と発言すれば、興味ある人が試して意見をくれるかもしれません。コミュニティリーダーに許可を取ってから正式にアナウンスしてもらうこともできます。
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コールドメール/DM: 潜在顧客になりそうな個人や企業に直接アプローチするやり方です。リストアップと個別カスタマイズに時間はかかりますが、お金はかかりません。例えば自作のB2B SaaSに当てはまりそうな企業リストを作り、担当者にメールやLinkedInメッセージでアプローチします。この際テンプレート丸出しでは相手にされないので、「御社の○○という課題に役立てると思いご連絡しました」など相手ごとに内容を調整し、短いながらも価値提案が伝わるメッセージにします。100通送って返信5通でも、その中から契約1件取れれば御の字です。個人向けでもTwitterのDMやInstagramのメッセージ機能で「あなたの投稿を拝見し、○○に興味があるようでしたので~」とコンタクトすることはできます。スパムにならない範囲で丁寧に行えば、ゼロから初期ユーザーを開拓する一助になります。
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ゲスト寄稿や相互露出: 仲間の開発者や関連分野のブロガーと協力し、お互いのメディアで紹介し合うのも低コストでできる施策です。例えば、自分のブログで他サービスのインタビュー記事を書き、その相手にも自分のサービスについて書いてもらう、といった形です。お互いのユーザー基盤を共有できWin-Winになります。海外ではIndie Hackers同士でニュースレターでの相互紹介や、ポッドキャスト出演し合う例もあります。コミュニティで信頼関係を築き、持ちつ持たれつで露出機会を増やしましょう。
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リアルイベントへの参加: オンライン施策が中心ですが、地元のテックミートアップやハッカソン、業界カンファレンスなどに足を運ぶのも忘れてはいけません。名刺代わりにサービスの簡単な紹介カードやチラシを作っておき(自宅プリンタで印刷すれば数百円程度)、交流の中で興味を持ってくれた人に配ると良いでしょう。顔を合わせて話すことでサービスへのフィードバックも直接もらえますし、その人がさらに他の誰かを紹介してくれるかもしれません。コロナ以降オンラインイベントも増えていますが、逆に言えば世界中どこでも参加できるので、関連分野のウェビナーやコミュニティイベントに積極的に参加し発言することで存在をアピールすることも可能です。
以上、様々な低コスト施策を挙げましたが、肝心なのはこれらを組み合わせて継続することです。一つひとつの効果が小さくても、積み重ねれば確実に認知度とユーザー数は向上します。お金をかけない分、時間と創意工夫を投資して、自作サービスの魅力を最大限多くの人に届けましょう。
最終更新: 2025年3月14日
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